横領の調査はどのようにするのか? 発覚後の処分や防止策を解説!

「横領の調査はどのようにしたらいいのか」など、横領調査で悩んでいる方は多いでしょう。「社員が横領しているかもしれない」と疑いを持ったときには、早めに対処することが大切です。横領などの不正による損失は、経済的損失だけでなく、社会的信用問題にも大きく関わります。しかし、横領の疑いで告訴・訴訟を起こす際は、その証拠が必要不可欠です。

そこで、本記事では、どのようなものが横領の証拠になるのか解説します。

  1. 横領とはどういう行為?
  2. 横領によって会社が受ける損失
  3. どのようなものが横領の証拠になるの?
  4. 社員による横領調査と発覚後の処分
  5. 横領を防ぐためにできること
  6. 横領に関してよくある質問

この記事を読むことで、横領を未然に防ぐ方法や対策などが分かります。気になっている方は、ぜひチェックしてください。

1.横領とはどういう行為?

まずは、横領がどのような行為にあたるのかチェックしておきましょう。

1-1.他人の所有物を故意に自分のものとする行為

簡単に説明すると、横領とは他人または公共のものを不法に自分のものとすることです。刑法では、他人の所有物を故意に自分のものとする行為をすると、横領罪・業務上横領罪・損失物横領罪のいずれかに該当し、5~10年以下の懲役に処されます。たとえば、所有者から任せられて自分が管理・保管しているものを勝手に自分のものにすると横領とみなされるのです。なお、業務上占有しているものを横領した場合は、業務上横領となり重い刑で処罰されることになるでしょう。

1-2.横領でよくある例

よくある横領の例としては、会社から支給されたパソコン・携帯電話・営業車・作業服などを盗むような行為です。仕事に必要なものは会社から支給されることが多いですが、これらはすべて会社の所有物となります。他人のものを勝手に自分のものにしたり、売ったりする行為は横領罪です。ちなみに、警報では以下のように記載されています。

  • 単純横領罪(刑法第252条):自己の占有する他人のものを横領した者は5年以下の懲役
  • 業務上横領罪(刑法第253条):業務上自己の占有する他人のものを横領した者は10年以下の懲役

1-3.窃盗罪との違いは誰の管理下にあるのか

他人のものを自分のものにするという意味では窃盗罪と似ていますが、大きな違いがあります。それは、盗むものが誰の管理下にあるという点です。窃盗は他人の管理下にある他人のものを盗むことを指しています。一方、横領は自分の管理下にある他人のものを盗む行為です。誰の管理下にあるものを盗むのかによって、窃盗と横領の違いがハッキリとしています。

2.横領によって会社が受ける損失

横領によって会社はどのような損失を受けるのでしょうか。

2-1.発覚が遅くなるほど膨らむ経済的損失

横領された金品の額が大きいほど、経済的損失も膨大になります。長年、社員が会社の利益を横領し続けた結果、数千万円もの大金を自分のものにしていたことが発覚したケースがありました。このように、横領は発覚しなければ長期にわたって行われることが多く、発見したときには金品の被害が膨らんでしまいます。着服されたものが会社のお金だった場合、借金の返済やギャンブルなどに使われていると、横領犯自身による弁済が不可能です。つまり、その金額分だけ会社にとっては経済的損失となります。

2-2.今後の運営に響く社会的信用問題

社員の横領行為は、会社の社会的信用問題になります。報道によって企業イメージが損なわれれば、顧客や取引相手との信頼関係にも響くでしょう。また、横領で顧客や取引先企業に損失が発生した場合は、取引の停止も考えられます。経済的損失だけでなく、今後の経営・運営にも響く社会的信用問題につながるのです。

2-3.損害賠償を請求する際は訴訟に時間もかかる

横領を刑事告訴したり、横領犯に損害賠償を請求したりする際は、訴訟に時間をかけなければなりません。告訴や訴訟で時間とお金を費やすことになるのも、横領によって会社が受ける損失と言えるでしょう。社内で横領が発覚した場合、被害届を提出するか警察に通報するかで捜査が始まり犯人逮捕となります。ただし、横領に対する公的な救済制度や弁済義務がないため、損害賠償請求する以外に弁済してもらう手段がありません。

3.どのようなものが横領の証拠になるの?

告訴・訴訟時に必要なものが横領の証拠です。では、一体どのようなものが横領の証拠になるのでしょうか。

3-1.被害金の使い道や財産の処分状況に関する証拠

横領を立証するためには証拠が必要不可欠ですが、重要視されるのは被害金の使い道が分かる内容や、被疑者の財産処分状況に関する証拠です。たとえば、経理担当者が会社の預金口座から現金を不正に引き出し、そのお金を私的な用途で使い込んだとします。その場合、被害金の金額またはそれに近い金額が被疑者の預金口座に入金されていることが分かれば、横領の立証が可能です。預金口座の履歴または被害金額と同額のお金を自宅で隠し持っていた場合も、横領の立派な証拠となります。

3-2.契約書・領収書の偽造や会計ソフトのデータ改ざん

横領の発覚を防止するために行ったものも、横領の証拠となり得るものです。たとえば、被疑者が契約書や領収書などを偽造したり、会計ソフトのデータを改ざんしたりした履歴が当てはまります。ただし、これらの証拠は横領に関する一部に過ぎません。状況や事案によっては、さまざまな証拠を集める必要があります。自分たちで調査を行うには、証拠が不十分になり逆効果となる可能性もあるのです。

3-3.証拠が不十分だと言い逃れの機会を与えてしまう

証拠が不十分なまま横領犯を追求するのは危険です。横領の立証ができず、実態を解明している間、言い逃れや協力者との示し合わせの機会を与えてしまい、結局追求ができなくなってしまいます。また、被害届や告訴状の準備、横領犯に対する損害賠償を請求する場合でも、決定的な横領の証拠が必要です。

4.社員による横領調査と発覚後の処分

社員による横領を調査する方法と、発覚後の処分について解説します。

4-1.会社で使用しているパソコンの調査

社内で社員の横領調査を行う場合、会社で使用しているパソコンの調査を行う方法があります。現在では、ほとんどの会社でパソコンを使用しており、帳簿や伝票なども管理しているところが多いでしょう。会社の内外の者とメールのやり取りも調査できるため、共犯者の存在が判明するケースもあります。たとえ、横領の証拠を隠すためにデータの改ざんや正気をしていたとしても、データ復元ソフトを使用すれば元の状態に戻すことも可能です。

4-2.決定的な調査を集めるなら探偵事務所に依頼する

横領の疑いが浮上したときには、すぐに調査を始めるのが理想です。会社の預貯金・金庫内の現金・伝票や帳簿類・契約書・領収書などを調査すると思いますが、それだけで会社によっては大きな負担となります。調査に時間をかけることになるため、代わりに調査を行ってくれる探偵事務所などのプロに依頼するのも方法の1つです。社員行動調査などを行うことで、横領の疑いがある人物を一気にピックアップすることができます。決定的な証拠をスピーディーに集めたいときにもプロに依頼すべきです。

4-3.調査を拒否する社員には懲戒処分を

会社の就業規則などで、調査の必要が生じた際に会社用のパソコンや個人用のスマートフォンを提出しなければならないと記載されている場合があります。この場合、提出を拒否すると懲戒処分になるのです。基本的に、横領の疑いをかけられた場合、それらを提出する義務はありませんが、あらかじめ規則になっている場合は別でしょう。また、条項が設けられていない場合でも、調査を拒否するとより強い疑いを向けられることになります。社員側はきちんと会社の指示に従う必要がありますし、会社側は規約に沿ってルールを守らなければなりません。規約違反をした社員には懲戒処分を下すことで、社内のルールを保てるのです。

4-4.横領が発覚したら事情聴取を行い処分を決める

横領が発覚した場合、疑いのある社員の事情聴取を行います。もちろん、その間は自宅待機命令を下し、仕事をさせることはありません。事情聴取で状況を具体的に聞き出した後、横領犯への処分を決めます。基本的に、会社として行う責任追求は以下の3通りです。

  • 会社内での責任:懲戒解雇・懲戒処分・人事処分など
  • 民事上の責任:損害賠償請求
  • 刑事上の責任:業務上横領罪・背任罪

横領犯が素直に罪を認め反省しているか、横領行為の時期や詳細な金額、持ち出した物品の返還などによって処分を決めることになるでしょう。

5.横領を防ぐためにできること

横領を未然に防ぐためにできることを紹介します。

5-1.会社の労務管理を見直す

社員による横領行為が発生した場合、これまでの労務管理を見直す必要があります。不十分な点があったからこそ、横領を未然に防ぐことができなかった証拠です。特に、会社の金銭管理を特定の従業員に任せきりで監督していないケースは、横領被害に遭いやすい傾向があります。会社の労務管理を見直す場合は、以下のポイントに注目するといいでしょう。

  • 会社の金銭管理を特定の従業員に任せきりにしていないか
  • 金銭管理を行っている従業員の監督をきちんとしているか
  • 経済処理のダブルチェックを行っているか
  • 経営者が会社の通帳・帳簿のチェックをしているか
  • 少額の横領を見て見ぬフリをしていないか
  • 出入金の記録をこまめにつけているか
  • 入社時に身元保証人をつけているか

5-2.経理担当者が1人で預金を引き出せない仕組みを作る

経理担当者による横領をよくニュースで耳にしますが、これは1人で預金を引き出せる仕組みが原因になっていることがほとんどです。出金伝票とその承認制度を作ることはもちろん、支払いが必要になったときは担当者1人だけで預金を引き出せないようにする仕組みを作ることが大切となります。たとえば、出金伝票に支払先や金額を記載し、請求書などの資料と一緒に上司に提出するという流れを作りましょう。数人から承認を得なければ金銭を動かすことができない仕組みを作れば、横領対策になります。

5-3.経理とは違う社員が定期的に通帳の出金履歴を確認する

会社の預金の不正な引き出しや送金を防ぐためには、経理とは違う別の社員が通帳の出金記録を確認することが大切です。すべての支払いについて対応する出金伝票があるか、定期的にチェックする仕組みを作りましょう。ポイントは、経理担当者以外の者が確認することです。同じ担当者が確認する流れでは、共犯者や協力者によって横領が成立してしまいます。

6.横領に関してよくある質問

横領に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.着服と横領の違いは?
A.着服と横領の違いはさまざまですが、大きな違いは盗む対象です。一般的に、着服は金銭を盗む行為ですが、横領は金銭に限りません。携帯電話やパソコン・洋服など、幅広いものを盗む行為が対象となります。横領は土地や建物など不動産も対象となりますが、着服は金銭以外の財産には使われません。また、法律上においても大きな違いがあります。着服は盗む行為のことを一般的に表した言葉ですが、横領は法律用語です。

Q.小売店舗を多店舗経営する場合の横領対策は?
A.横領のリスクが高いケースとなるため、小売店舗の現金は当日の預金口座への入金を徹底したほうがいいでしょう。特に、現金での支払いを受ける小売店舗の場合は、現金での入金が理想的です。また、入金を担当する担当者は別の社員から毎日の売上額の報告をさせる・本社の経理担当者が定期的に入金を確認するなどの対策もあります。

Q.効果的な横領行為の再発防止策は?
A.人材採用時に身辺調査を行うことです。身辺調査では、その人が信用値する人物かを調べることができます。たとえば、学歴や職歴、過去に起こした問題点、家族や恋人関係などです。対象者の個人情報とプライバシーに関する情報を調べることができ、過去に金銭トラブルを抱えている場合は採用の保留や取り消しも検討できるでしょう。

Q.刑事告訴をするメリットは?
A.1番のメリットは、犯人に処罰を科すことができる点です。業務上横領罪が認められた場合、法律上において10年以下の懲役となります。また、刑事告訴は横領金の返済を促す有力な手段の1つです。ただし、横領した者が横領金を返済したくても資金のあてがない場合は、返済が難しくなるでしょう。

Q.探偵事務所が行う調査方法は?
A.業者や状況によって異なりますが、履歴書・職務経歴書などを元に、対象者の経歴(学歴・職歴・保持資格・前職)に虚偽がないかどうかを調査することになります。探偵社アヴァンスでは無料相談を受けつけているので、ぜひ1度ご相談ください。

まとめ

社内で横領が発覚した場合、迅速かつ適切な対処が必要とされます。横領は経済的損失だけでなく、社会的信用問題にもつながるからです。まずは、横領があったという証拠をつかまなければなりません。証拠が不十分だと、言い逃れや協力者との示し合わせの機会を与えてしまうことになります。素人が調査を行うのは限界があるため、探偵事務所などのプロに依頼しましょう。実績がある探偵事務所は、スピーディーに調査をすすめ、確かな証拠をつかみます。