モラハラの証拠になるものは? 証拠の集め方と注意点を徹底解説

モラハラとは「モラルハラスメント」の略語で、道徳や倫理に反した言葉や行動で精神面な嫌がらせをすることです。モラハラは職場だけではなく、家庭内でも起こるもので、実際に悩んでいる方はたくさんいます。モラハラを理由に離婚するためには、証拠を集めなければなりません。しかし、どんな証拠を集めたらいいのか、分からない方は多いでしょう。

そこで、本記事では、モラハラの証拠を集める方法や注意点などについて解説します。

  1. どんな行為がモラハラになるの?
  2. モラハラは離婚の理由になるの?
  3. モラハラが証拠として有効なものは?
  4. モラハラの証拠収集が難しい理由
  5. モラハラの証拠を集める方法
  6. モラハラの証拠収集後に行うこと
  7. モラハラに関してよくある質問

この記事を読むことで、モラハラの証拠になるものや、集め方のポイントなどが分かります。気になっている方はぜひ参考にしてください。

1. どんな行為がモラハラになるの?

モラハラは、精神的な虐待やいじめのことです。具体的にはどのようなことがモラハラになるのでしょうか。職場と家庭における例をいくつか紹介します。

職場

  • 陰口を言う
  • 無視をする
  • 誹謗中傷をする
  • バカにする
  • 仲間はずれにする
  • 仕事に必要な情報を与えない
  • わざと業務を多く与える・仕事の邪魔をする
  • 異常にプライベートに介入してくる 

家庭

  • 妻(夫)をとことんいましめる
  • 暴言を吐く
  • 配偶者のミスをしつこく責める
  • 配偶者を異常に束縛する
  • 子どもに配偶者の悪口を吹き込む
  • ウソをつく

このように、モラハラは精神的暴力が大きなポイントとなります。職場だけではなく、家庭でも起こりやすいのがモラハラの特徴です。

2.モラハラは離婚の理由になるの?

配偶者からのモラハラが原因で離婚するためには、モラハラをされている証拠が重要になります。どういったものが証拠となりのか、どのように集めればいいのかを見ていきましょう。

2-1.夫婦の合意があれば離婚はできる

離婚の方法として、協議離婚と調停離婚がありますが、原則的には夫婦の合意によって成立するものです。モラハラをしている配偶者が離婚してもいいといえば、証拠を集める必要はありません。しかし、モラハラをしている配偶者は、自覚がない場合も多いので離婚を求めても応じない可能性が高いでしょう。そのようなときこそ、証拠が必要になります。証拠を提示すれば、これまでモラハラをしていたことを自覚させることができ、離婚に向けて話し合いが進められるでしょう。

2-2.モラハラが離婚の理由になるケース

モラハラを理由に離婚が認められる可能性があるのは、次のとおりです。

  • モラハラされている証拠があるか
  • モラハラが原因で精神疾患にかかっているか
  • 非常識な言動や行動があったか
  • 異常な束縛があったか
  • 生活費をもらえない状態か

以上の内容が証明できる証拠があれば、モラハラを理由に離婚できる可能性が高めです。前述したように、モラハラの証拠が大きなカギとなります。

2-3.離婚が認められない可能性があるケース

モラハラをされていても離婚が認められないケースもあるので注意が必要です。主に、離婚が認められないケースは以下のような内容となります。

  • モラハラを証明する十分な証拠がない
  • 配偶者の行為がモラハラとは認められない
  • ​配偶者のモラハラ的言動に対して、自分もやり返している

3.モラハラが証拠として有効なもの

モラハラの証拠は、誰が見ても配偶者からモラハラを受けていると分かる客観的なものが理想です。

3-1.モラハラを記録した日記やメモ

モラハラは、精神的暴力ですので傷が残ることはなく、目に見える証拠は残りません。そのため、毎日受けたモラハラを日々記録することが大切なポイントとなります。

  • ノートやメモに日時と言われた言葉を記録する
  • スマホに記録する

上記を意識してみてください。配偶者に見つかってしまうと、捨てられたり消されたりする恐れがあるので、見つからないように記録しましょう。

3-2.モラハラの現場を録音や録画で残す

録音や録画のデータは、証拠として有効です。実際に、モラハラされた現場を録音したり録画したりして残しておくといいでしょう。ただし、一部編集をしたり、部分的に切り取ったりしてしまうと、証拠としての信ぴょう性が低くなってしまいます。そのため、一連のモラハラが分かるように録音・録画することが大切です。なお、録音・録画のデータが多いほど、頻繁にモラハラを受けていたという有力な証拠となります。

3-3.メールやSNSなどのモラハラ発言

メールやSNSなどでのモラハラ発言も証拠になります。非難や侮辱の言葉をメールやSNSで受けた場合は、しっかりと記録しておきましょう。メールはきちんと保存するだけではなく、スクリーンショットでもデータを残して、紙に印刷しておくと安心です。

3-4.親族や友人の証言

親族や友人がモラハラの目撃現場に出くわしたとしたら、その証言も証拠になります。相談をして協力してくれるのであれば、陳述書の作成や証言を依頼してみましょう。

3-5.公的機関や警察への相談

公的機関や警察にモラハラ相談をしていた場合、それが証拠になる可能性もあります。たとえば、110番通報履歴なども証拠になるでしょう。それぞれの機関では相談内容を保管しているので、過去にモラハラを受けていた証拠として提示できます。公的機関は、自治体によって相談体系が違いますので、それぞれお住まいの自治体に直接確認してみましょう。

3-6.精神科・心療内科への受診や医師の診断書

配偶者のモラハラによって、精神的に不安定になり、医療機関を受診することがあるでしょう。うつ病や不眠症等の精神的な病と診断を受けて、作成してもらった診断書は証拠になります。

3-7.配偶者が壊したものの写真

モラハラは暴力を伴わないことが多いですが、突然感情的になってものを壊したり、ものにあたったりすることもあるでしょう。大切にしているものを乱暴に壊された場合、その写真や画像があれば証拠になる可能性があります。

4.モラハラの証拠収集が難しい理由

配偶者からモラハラを受けているのはとても悲しいことです。離婚や慰謝料請求をするときには、モラハラを認めてもらうことが必要ですが、なかなか認めてくれないケースが多いでしょう。証拠を集めようとしても、自分では限界があります。では、なぜモラハラの証拠収集が難しいのか、その理由をチェックしておきましょう。

4-1.モラハラは突然起こる

モラハラは非難されたり、陰湿な言葉で攻撃されたりと精神的ダメージがほとんどです。それを録音することで証拠になりますが、モラハラが突然起こるとすぐに反応できません。モラハラはいつ起きるか分からないからこそ、証拠が集めにくいところがあります。証拠を集めるためには、いつどこでも証拠を押さえられるように準備が必要です。

4-2.本人に自覚がない

モラハラをしている本人は、自分がひどい言葉で相手を傷つけている意識が低いといわれています。本人にモラハラをしている自覚がない場合、証拠を突きつけても「それはモラハラではない」と逃れ続けるケースもあるでしょう。本人にモラハラの自覚がない場合、第三者の証言や複数の証拠が必要になります。

4-3.モラハラを受けている意識がない

モラハラを受け続けていると洗脳状態になりやすく、自分を責めてしまう傾向にあります。洗脳されているときは、モラハラの証拠がつかめません。他人から指摘されてもモラハラをしていないと主張する人もいるため、客観的な立場になって考えることも必要でしょう。

5.モラハラの証拠を集める方法

ここでは、モラハラの証拠を集める方法について解説します。

5-1.客観的な証拠を集める

モラハラを相手に認めさせるためには、客観的な証拠を集めなければなりません。具体的に、いつ・どこで・誰が・どのように行動したのかが示されていることが大切です。前述したように、音声データ・手書きの記録・メールやSNSの記録・警察や病院との相談記録がモラハラの証拠となります。モラハラを受けたときは、そのときの状況を事細かくメモしてください。自分で手に入れた証拠は、クラウドサービスなどにデータのバックアップを保存しておくといいでしょう。配偶者に見つかったとしても証拠を守ることができます。

5-2.探偵事務所に依頼する

自分でモラハラの証拠を押さえるのが不安な場合は、探偵事務所に依頼するのがおすすめです。前述したように、突然モラハラを受ける可能性もあるため、自分で証拠をつかむのは難しいでしょう。けれども、探偵事務所に依頼すれば、素人ではつかみにくい証拠を押さえることができます。違法にならない範囲で証拠をつかむ方法やポイントなどを教えてくれるでしょう。また、探偵事務所の中には、弁護士と連携を組んでいるところもあるので専門的な面からアドバイスを受けることもできます。千葉県を中心に探偵業を行っているアヴァンスでは、無料相談を受け付けているのでお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。

6.モラハラの証拠収集後に行うこと

ここでは、モラハラの集めた後に行うことを解説します。

6-1.モラハラを止めさせる

モラハラをしている配偶者に証拠を提示し、モラハラを止めさせる方法があります。ただ、直接やり取りをすると何をされるか分からない危険があるため、友人や親族などを間に入れたほうがいいでしょう。モラハラを自覚させるためには、第三者が指摘することが1番効果的です。相談できる人がいなければ、男女共同参画センターの相談窓口や弁護士など専門機関へ事情を話してみてください。離婚したい気持ちが強ければ、弁護士に相談することをおすすめします。

6-2.協議離婚

話し合いができる状態であれば、協議離婚へと進みます。協議離婚は夫婦の合意によって離婚する方法です。ただし、モラハラをする人は離婚の申し出を受け入れず、逆ギレする可能性があります。そのため、協議離婚を目指すなら弁護士に交渉を依頼し、直接相手と話さないようにしたほうがいいでしょう。第三者の言葉なら相手も耳を傾ける可能性があります。なお、協議離婚が成立した際は、慰謝料や養育費など夫婦間で取り決めたことを離婚協議書に残してください。

6-3.調停離婚

話し合いできる状況でなければ、調停離婚へと進みます。調停離婚とは、家庭裁判所に調停を申し立てる方法です。基本的に、家庭裁判所の調停委員が双方の話を聞き、慰謝料や養育費などを取り決めます。双方が合意すれば調停離婚が成立し、家庭裁判所において調停調書が作成されるでしょう。

6-4.裁判離婚

調停離婚でも解決できない場合は、最終手段として裁判離婚という選択肢があります。話がまとまらない・家庭裁判所からの呼び出しに相手が応じない場合は、裁判を起こすことになるでしょう。裁判離婚は判決が下るまで1年以上の月日を要するため、長期戦になります。訴状の作成から口頭弁論など、弁護士のサポートも必要になるので費用もかかるのがデメリットです。

7.モラハラに関してよくある質問

モラハラに関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.モラハラの証拠をつかむために、無断で録音することは犯罪にならないのか?
A.モラハラ行為を無断で録音することは秘密録音になりますが、犯罪にはなりません。秘密録音とは、会話当事者の一方が他方の同意や了解を得ずに会話を録音することです。訴訟での証拠としては原則問題ありません。

Q.モラハラを受けた証拠になる日記や録音データは、どのくらいの期間集めるといいのか?
A.具体的な期間は決まっていませんが、できるだけ多くの記録を集めると有利な証拠となります。これは、自分で集めた証拠が、証拠として成り立たない可能性があるからです。そのため、できる限り証拠をたくさん集めてください。

Q.配偶者からモラハラを受けているとき、別居をしても大丈夫か?
A.法律上、夫婦は相手の同意なしに勝手に別居するのは同居義務違反と判断されてしまいます。けれども、モラハラ被害に遭っているときは別です。配偶者からのモラハラが原因で同居が難しい場合は、「別居しても仕方がない」と正当な理由が認められるので法律違反にはなりません。

Q.別居中、顔を合わせずに離婚できるのか?
A.弁護士に間に入ってもらったり、調停離婚で顔を合わせないようにしてもらったりすることで顔を合わせずに離婚できます。モラハラをする配偶者と顔を合わせることが精神的負担になっているのら、無理をせずに弁護士や家庭裁判所に相談してください。

Q.モラハラの証拠が少ないと離婚は難しいのか?
A.なるべく、証拠はたくさん集めておいたほうがいいでしょう。証拠不十分として離婚できない可能性があるからです。自分でモラハラの証拠を集めるのが困難な場合は、探偵事務所などに相談してください。

まとめ

モラハラで離婚を検討している方は、まず、モラハラの証拠を集めることが大切です。ただし、モラハラは精神的暴力なので証明するのが困難なデメリットがあります。モラハラを受けているときの録音や録画を自分で集めることはできますが、不安な方は探偵事務所や弁護士などに相談してください。1人で思い悩まずに相談することで、配偶者のモラハラから抜け出す道が見えてくるでしょう。