
不倫は法律違反!?罪には罰を!裁判や慰謝料請求の流れ

「不倫は法律違反にならない」と思っていませんか?
確かに昔から「浮気は男の甲斐(かい)性」と言う人もいるくらいなので、法律に反すると思っていない人も多いでしょう。
しかし、不倫は立派な不法行為となります。
もし、あなたの配偶者が不倫をしているなら、しかるべき手段で罰するべきです。
そして、自分が今後進んでいく道を考えましょう。
この記事では、不倫と法律についてまとめて解説しています。
この記事を読むことで、不倫が法律違反であるということが詳しく分かります。
配偶者の不倫に対して自分はどうするべきなのか考えていきましょう。
1.不倫と法律について
まずは、不倫と法律について考えてみましょう。不倫の定義や不貞との違いについて解説します。
1-1.不倫の定義は?
倫理的に考えれば、配偶者以外の異性と親密な関係になることを「不倫」と呼びます。たとえ肉体関係がなくても同じことでしょう。しかし、法律では違います。離婚事由として認められるためには男女の間に肉体関係があることを立証する必要があるのです。つまり、法律では、不倫の定義は「配偶者以外の異性と性交渉をすること」ということになります。
1-2.「不倫」と「不貞」は同じ?
どこからどこまでが不倫なのか、その定義は非常に難しいものです。人によっては不倫に値することでも、そうでないと考える人もいるでしょう。そこで、法律では「不倫」ではなく「不貞行為」という言葉を使います。不貞行為とは、配偶者以外の異性と性交渉をすること。一緒に食事をしたりドライブに出かけたりするだけでは「不貞行為」にならず、不倫の証拠として認められる可能性は低いのです。
1-3.民法では夫婦間の貞操義務が定められている
民法第752条では、夫婦間には貞操義務があるとされています。貞操義務に反する行為、つまりどちらか一方が不貞行為をした場合には、離婚理由になることが定められているのです。そのため、配偶者の不貞行為が認められた場合は、不法行為として損害賠償を求めることができます。
2.不倫は法律違反になるのか?
上記で解説したとおり、論理的に見た不倫の定義は意外と範囲が広いため、その見極めが難しいものになるケースが多くなっています。一口に「不倫」と言っても、法律違反になる行為とそうでない行為があるというわけです。
2-1.法律違反になる行為とならない行為
法律では不倫は「不貞行為」という言葉で使用されることはご説明しました。不貞行為と言うと、一般的には「配偶者以外の異性と性的な関係になること」という捉え方になるでしょう。しかし、裁判での「性的関係」は範囲が広く「性交渉」に限るものではありません。たとえば、キスをしただけ・体を触っただけの関係であれば、不貞行為に当てはまらないという考え方もあるのです。
不貞行為として法律違反になる行為には、具体的に以下のようなものがあります。
- 1回だけの性的関係
- 酔った勢いでの性的関係
- 継続的な風俗店通いによる性的関係
そして、不貞行為として見なされず、法律違反にならない行為には以下のようなものがあります。
- 肉体関係を伴わない異性との関係
- 同性愛の場合
- 夫婦が別居した後の性的関係
- 強姦(ごうかん)された場合
2-2.法律に違反したらどうなるのか?
不倫をして配偶者に精神的苦痛を与えることは、立派な罪です。その罪に対する罰を受け、つぐないをする必要があるでしょう。日本の法律では、相手の不倫が発覚した場合、次のような手段で罪をつぐなってもらうことができます。
2-2-1.裁判を起こして離婚する
「離婚したいけれど相手が同意してくれない」という場合は、裁判を起こす方法があります。裁判にはもちろんお金が必要です。決着まで長期化することもあり、精神的にもつらい思いをすることになるでしょう。しかし、裁判を起こすことで相手も事実を隠しきれなくなり、本当のことが明らかになります。「離婚して新しい人生をすすみたい」という人は、早めに裁判を起こすことを考えてみましょう。
2-2-2.慰謝料を請求する
「裁判を起こすのは抵抗がある」という人も多いでしょう。そんなときは、相手との話し合いをして慰謝料を請求する方法があります。当事者同士の話し合いで慰謝料の金額や支払い方法について決めていくのです。不倫相手が話し合いに応じない場合は、内容証明郵便によって慰謝料を請求することもできます。その際、書類の作成をプロの法律家に依頼するのがおすすめです。
3.不倫と法律・裁判について
裁判を起こす場合の方法や流れについてご紹介します。
3-1.法的に慰謝料の支払いを命ずるのが裁判の目的
裁判を起こすことでお金や労力が必要になります。しかし、不倫裁判の目的をよく考えてみてください。裁判をすることで、相手側に対する「慰謝料の支払い義務」が認められます。つまり、たとえ不倫相手が慰謝料の支払いを拒否したとしても、財産を差し押さえることが可能になるのです。「事実をうやむやにしたくない」という人にとって、裁判はメリットが大きいということを覚えておきましょう。
3-2.裁判を起こす方法と流れ
裁判を起こす場合は、まず最寄りの裁判所に訴状を起こします。裁判所から不倫相手に訴状が届くと、裁判の開始です。訴訟の対応を弁護士に依頼したい場合は、裁判所に委任状を提出しましょう。裁判が長引くことを避けたければ、途中で和解するケースもあります。和解が成立しなければ尋問手続きが始まり、裁判官が事実関係を確認することになるでしょう。尋問でも和解に至らなかった場合は、裁判の判決が下されることになります。
3-3.裁判を起こす際の注意点
裁判は公開で行われるため、他人に知られてしまう可能性が高いものです。「誰にも知られたくない」という人は、慎重に裁判をすすめていく必要があるでしょう。裁判を起こす際には、そのあたりのリスクについても十分に検討しておいてください。また、裁判には高額なお金がかかります。弁護士に依頼すると数十万円の費用がかかることもあるため、慰謝料が取れても赤字になってしまう可能性があるということを覚えておきましょう。
3-4.相談窓口
各法律事務所には、不倫裁判に関する相談窓口が設けられています。電話やメールで相談できる事務所もあるため、ぜひ探してみてください。また、不倫や離婚の相談に無料で応じてくれる機関もあります。裁判を起こすべきか迷っている人は相談してみるとよいでしょう。
4.不倫と法律・慰謝料請求について
次に、慰謝料について解説します。慰謝料請求の流れや方法はどうなっているのでしょうか。
4-1.精神的および身体的な苦痛を受けたことに対する代償
そもそも慰謝料とは、夫婦の一方に主な責任がある場合、相手方に支払うお金のことを言います。つまり、夫の不貞行為が発覚したときは、妻にその代償として慰謝料を支払う義務が生じるのです。そして、「不貞行為をしたことへの責任」や「離婚することになった責任」を考えて慰謝料の金額を計算することになります。
また、不倫の場合は不倫相手も「共同不法行為」の対象となり、慰謝料を支払う義務を負うことになるでしょう。
4-2.慰謝料請求の方法と流れ
慰謝料を請求する方法としては、以下の4つがあります。
- 直接会って口頭で請求する。
- 電話や面談で請求する。
- 内容証明で請求する。
- 裁判手続きで請求する。
直接の話し合いがうまくいかない場合は、内容証明による書面で請求するのが一番です。内容証明に法的効力はありませんが、送付した手紙の内容が郵便局に保存されるため、後になってから証明できるという強みがあります。実際に、内容証明の段階で示談が成立し、慰謝料が支払われるケースがほとんどなのです。内容証明を送る前に相手の住所を確認し、請求金額を決めておきましょう。
4-3.慰謝料を請求する際の注意点
慰謝料の相場は、一般的に200万円前後です。あまりに高額な慰謝料を請求してしまうと話が長引き、支払われなくなってしまう可能性もあるということを知っておきましょう。また、不倫相手に慰謝料を請求するためには、相手が結婚していることを知っていたかどうかがポイントになります。「結婚していることを知らなかった」と主張する不倫相手も多いのです。そのようなことにならないように、結婚していた事実を知っていた証拠もそろえておきましょう。
4-4.相談窓口
慰謝料請求の相談窓口としては、不倫裁判と同じように法律事務所や専門の機関などがあります。そのほかにも、不倫慰謝料に関する相談センターもあるため、ぜひチェックしてみてください。
5.不倫の裁判・慰謝料請求への準備
配偶者の不倫が分かったときは、裁判や慰謝料請求への準備として証拠集めが必要になります。自分で証拠をつかむ方法とプロに依頼する方法についてご紹介しましょう。
5-1.証拠はなぜ重要なのか?
裁判を起こすにしても慰謝料を請求するにしても、大切なのは「証拠集め」です。配偶者が不倫しているという確固たる証拠が必要となります。証拠がない、または不十分な場合は、裁判を起こしても負けてしまう可能性が高いでしょう。相手が不倫の事実を認めない場合、単なる憶測や推測であると判断されてしまうことになるのです。
5-2.自分で不倫の証拠をつかむ方法
では、不倫の証拠をつかむためにはどうしたらよいのでしょうか。自分で不倫の証拠を集めることは、もちろん可能です。しかし、成功する可能性としてはあまり高くありません。なぜなら、相手にとってあなたは最も「警戒している人物」であるためです。不倫の証拠をつかまれないように、常に警戒しているはず。知識や技術を持たないまま証拠集めをしても、失敗して気づかれてしまうことになるでしょう。その点に十分注意して、以下のような証拠集めを行ってください。
- 写真や手紙、ラブホテルの領収書などの物的証拠を集める。
- メールやLINEのやり取りや携帯電話の通話履歴など、情報を集める。
- ラブホテルに入って行く動画や会話を録音した音声など、現場を記録する。
5-3.プロに依頼する方法
次に、プロの探偵社に依頼して証拠を集めてもらう方法についてご紹介します。
5-3-1.プロに依頼するメリット
「自分で証拠集めをする自信がない」という人は、プロの探偵社に依頼しましょう。プロに依頼すれば、証拠をつかめる確率が確実にアップします。顔を知られていない分、怪しまれることなく真実を知ることができる、というメリットもあるでしょう。
5-3-2.プロに依頼するには?
浮気調査を行っている探偵社はたくさんあります。その中でも、納得のいく調査をしてくれる会社を選ぶことが大切です。探偵社を選ぶ際には、必ず複数の会社に見積もりを依頼して、その内容や対応を比較してから選ぶようにしましょう。アフターフォローとして各専門家の紹介サービスなどを行っている会社がおすすめです。また、無料相談を利用してアドバイスをもらうことも大切でしょう。「この会社に依頼すれば大丈夫」という安心感を得ることができたら、正式に依頼してください。
5-3-3.料金設定について
料金設定については、探偵社ごとに方法が異なります。「時間料金型」や「成功報酬型」「パック料金型」などさまざまなものがあるため、チェックしてみてください。配偶者が浮気相手と会う日時を確定できないときは「パック料金型」がおすすめです。購入した時間内で複数回に分けて不倫調査を実施するというもの。自由度の高い料金システムであるため、利用しやすいでしょう。
5-3-4.プロに依頼する際の注意点
プロの探偵社に不倫調査を依頼する前に、できるだけ証拠をつかみやすい曜日や時間帯を調べておくことをおすすめします。そのためにも、配偶者の行動パターンを日ごろからメモしておくとよいでしょう。効率よく調査ができれば、その分調査にかかる時間も費用も抑えることができます。つらいことだとは思いますが、分かった情報はすべて調査員に報告するようにしてください。
6.不倫と法律に関するよくある質問
「不倫と法律について知りたい」という人が感じるであろう疑問とその回答をまとめてみました。
Q.「不倫」は「浮気」とどう違うのですか?
A.不倫も浮気も意味としては大きな違いはありません。一般的には、男女のどちらか一方、または両方が既婚者である場合「不倫」という言葉が使われることになるでしょう。
Q.不倫の慰謝料請求に時効はありますか?
A.不倫による慰謝料の請求は、3年で時効消滅します。不倫の事実を知らなかった場合は、20年で時効です。
Q.配偶者の不倫相手に慰謝料を請求したところ「お金がなくて払えない」と言われました。どうしたらよいですか?
A.慰謝料を一括で支払うことができない場合は、分割払いという方法もあります。また、給料や財産を差し押さえることも可能です。
Q.離婚するつもりがなくても、不倫している配偶者から慰謝料を取ることはできますか?
A.不倫している配偶者と不倫相手の両方に慰謝料を請求することができます。しかし、離婚するつもりがないのであれば、不倫相手だけに慰謝料請求するのがおすすめです。
Q. 離婚にはどのような手続きがありますか?
A.協議離婚や調停離婚・裁判離婚などがあります。この中で、裁判所が介入しないのが協議離婚です。夫婦間の話し合いによって離婚が成立します。
まとめ
不倫と法律に関する情報をまとめて解説しました。法律では、不倫は法律違反であり、罪に対する罰を受ける必要があるのです。配偶者の不倫を疑っている場合は、どうすれば納得のいく結果へと導くことができるのかよく考えてみてください。