キスだけじゃ不倫にならない? 不倫が法律違反とみなされる基準は?

「最近、夫の様子がおかしい。どうやら不倫しているようだ」

「妻が不倫している。自分を裏切った報いを受けてもらいたいが、どうしたらいいのかわからない」

とお悩みの方はいないでしょうか。不倫は、配偶者の心を裏切る行為です。しかも、単に残酷なだけでなく、法律違反でもあります。今回は、パートナーの不倫に悩んでいる方のために、不倫が法律上どのように扱われるのか、法律違反とみなされる条件はどのようなものなのかご紹介しましょう。

  1. 不倫は法律でどんな扱いを受けるか
  2. 不貞(ふてい)行為の範囲
  3. 不貞(ふてい)行為を立証する方法
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1.不倫は法律でどんな扱いを受けるか

最初に、そもそも不倫とはどのようなものなのか、法律上はどのように扱われるのかについてご説明します。混同しがちな「浮気」と「不倫」の違いを見ながら、我々がこのあと問題にする「不倫」の定義を確認しておくことにしましょう。

1-1.不倫とは

不倫とは、倫ならざること。つまり「倫理を無視した行為」のことです。文字の意味を率直に受け入れるのなら、一般的な犯罪行為も不倫ということができるかもしれません。しかし、こんにち不倫という場合は、ほとんどのとき「結婚している男女の一方が、配偶者以外の相手と恋愛・肉体関係を結ぶこと」を指します。

パートナー以外と恋愛・肉体関係に及ぶことを「浮気」ということもありますが、浮気と不倫はどう違うのでしょうか。浮気は、結婚している、いないにかかわらず使われる言葉ですが、不倫という言葉は通常、結婚している男女に対してだけ使われる言葉です。一般的な意味合いでいえば、不倫という言葉は、浮気の中のごく一部の状況だけを指す言葉であると考えていいでしょう。

1-2.不倫は民法の離婚事由に当たる

結婚している男女には、それぞれ「貞操義務」と呼ばれる義務が課されます。貞操義務とは、結婚している限り配偶者以外の異性とは肉体関係を持たない義務のことです。「不倫は法律違反」という考えは、この貞操義務を守らなければならない、ということが根拠になっています。

実は、民法には貞操義務に関する条文はありません。しかし、過去の判例などから「貞操義務を守らない場合は、離婚事由(理由・原因)になる」とみなされているのです。たとえば、憲法二十四条には「婚姻は、両性の合意だけに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」という条文があります。不倫は、夫婦の一方がパートナーを裏切る行為なので「同等の権利を有する」という部分を守っているとはいえません。また、相手を裏切るということは「相互の協力により婚姻を維持しようとしている」ともいえないでしょう。

1-3.法律上の不倫

不倫は、民法では「不貞(ふてい)行為」と呼ばれています。不貞行為とは「妻と夫がそれぞれ、配偶者以外と性交渉を持たない義務」に反する行為です。

注意しなければならないのは、不貞行為とみなされるのは「性交渉」、つまりはセックスだけだということでしょう。たとえば、パートナー以外の異性と恋愛関係に陥ったとしても、性交渉が伴っていなければ法律違反とはみなされません。

また、離婚事由とみなされるのは、不貞行為が反復して行われた場合だけです。一度きりの不倫も不貞行為とみなされることは変わりませんが、離婚事由にはなりません。ですから、法律上の不倫とは「配偶者以外の異性と反復して性交渉をする行為」だといえるでしょう。

2.不貞行為の範囲

先ほどまで、法律の上では、どのような行為が不倫とみなされるのかについてご説明してきました。その説明だけでは、具体的にどのような行為が不貞行為となるのか想像できないと思います。この章では、具体的なシチュエーションをいくつか提示して「その行為が不貞行為とみなされるのかどうか」を確認していくことにしましょう。

2-1.キスやデートは、不貞行為とはみなされない

過去の判例を見ると、性交渉以外の行為が不貞行為とみなされた例はありません。つまり、単にほかの異性とふたりきりであっていただけでは「不倫をしている」ということはできないのです。

では、キスをしたり、お互いの体に触ったりしている場合はどうでしょうか。この場合もやはり同様に、不貞行為とみなされることはありません。「ほかの異性とキスをしていても不倫とはみなされない」というと、意外に思われる方も多いかと思います。しかし、今回問題なのは、あくまでも法律上の扱いです。法律上、不貞行為とみなされるのは「性交渉だけ」と覚えておいてください。

2-2.別居中に不貞行為があった場合

夫婦関係は、常に良好とは限りません。お互いに顔も見たくない状況に陥ってしまい、夫婦がそれぞれ別の家に住んでいるということもあると思います。そのようなときに不倫をしたら、不貞行為とみなされるのでしょうか。

夫婦関係が冷えきった結果の別居であるなら、たとえ離婚していなくても「実質的に夫婦関係が破綻している」とみなされ、不貞行為とみなされることはありません。しかし、一方が復縁を望んでいるなど、関係修復の可能性があると思われる場合は不貞行為とみなされることになります。

2-3.キャバクラや風俗は不貞行為?

「キャバクラや風俗に通うのは不貞行為じゃないの?」と疑問を持たれる方は少なくありません。しかし、すでに説明したとおり、法律上の不貞行為は「反復して行われた配偶者以外との性交渉」だけです。性交渉が伴わない限り、キャバクラや風俗に通っても不貞行為ととみなされることはありません。

ただし、キャバクラ嬢や風俗嬢とプライベートな関係を築き、性交渉に及んだ場合は話が別です。

3.不貞行為を立証する方法

「妻や夫に不倫をされたから離婚したい」という場合は、配偶者の不貞行為を立証しなくてはいけません。一方的に「不倫をされた」と主張しても、第三者には本当のことかどうか判断できないからです。この章では不貞行為を立証するための具体的な流れをご説明しましょう。

3-1.離婚調停・裁判には、不貞行為の証拠が必要

配偶者も離婚に同意したなら、協議離婚となりますのでなにも問題はありません。しかし、夫婦の協議がうまくいかない場合、家庭裁判所に仲立ちとなってもらい調停や裁判によって離婚を目指すことになります。

このとき、離婚を目指すがわは配偶者が確かに不貞行為をしたのだという証拠を集めて、裁判長に資料として提示しなくてはいけないのです。

3-2.写真やビデオ、メールなどが証拠になる

証拠には、不貞行為があったと確認できるもの、もしくはあっただろうと推定できるものが必要です。具体的には、写真やビデオ、電子メールなどによって、不貞行為の事実を明らかにすることになります。

もし、配偶者が不倫相手とホテルに出入りする姿を撮影することができれば、証拠として用いることができるでしょう。また、配偶者との話し合いを録音しておき「不倫をした」と発言しているところを記録しておくのも有効です。

3-3.調査会社に依頼して証拠を集めることも可能

不貞行為の証拠は、自力で集めることもできますが、調査会社や探偵に依頼して集めることもできます。配偶者が不倫をしないか、一日中見張っているのは困難ですし、不倫関係が「反復して行われたもの」だと証明するためには、複数の証拠が必要です。素人にはなかなか難しいことなので、検討してみるのもいいでしょう。

まとめ

今回は、配偶者の不倫に悩んでいる方のために、不倫の法律上の扱いと、どのような行為が不倫とみなされるのかについてご紹介してきました。

  1. 不倫は法律でどんな扱いを受けるか
  2. 不貞(ふてい)行為の範囲
  3. 不貞(ふてい)行為を立証する方法

不倫が法律でどのように扱われるのかを知っていれば、配偶者に対して計画的に対処することができます。感情的になって相手を問い詰めるのではなく、理路整然と、はっきりとした根拠を持って対応できるようになるのです。