離婚時の財産分与はどうなる? 財産分与の流れとポイントを解説

離婚を検討している夫婦にとっては、お金のことは気になることの1つでしょう。離婚に同意はしたものの、財産分与で何をしたらいいか分からない方が多いはずです。自分の立場だったらいくらもらえるのか、何を基準に財産分与の割合が決められるのか、基礎知識を身につけておかなければ損をしてしまいます。

少しでも自分にとって有利な話し合いができるように、本記事では、財産分与の基礎知識と手続きについて解説しましょう。

  1. 財産分与とは?
  2. 財産分与の種類は3つ
  3. 財産分与の対象になる財産
  4. 財産分与の割合はどうなっているの?
  5. 財産分与の流れ
  6. もし、配偶者が浮気の離婚の場合はどうなるの?
  7. 離婚・財産分与に関してよくある質問

この記事を読むことで、離婚における財産分与の基本やポイントが分かります。財産分与で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

1.財産分与とは?

財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に協力して築いた財産を、離婚の際に分与する制度のことです。夫婦の一方が他方に対して財産の分与が請求でき、それぞれの貢献度に応じて夫婦の財産を分配することになります。

離婚時は共有財産を分けるんですね。
はい。離婚理由などによって配分が決まります。

2.財産分与の種類は3つ

財産分与を大きく分けると3つの種類があります。それぞれ、どのような特徴があるのか見ていきましょう。

2-1.精算的財産分与

清算的財産分与は、婚姻中に夫婦で築きあげた財産を2人で清算することです。結婚している間に夫婦で協力して築いてきた財産は、あくまで夫婦の共有財産とみなされます。そのため、離婚原因があるか否かで財産分与の割合を左右するのではなく、2人の財産を2人で分与するのが清算的財産分与です。よって、離婚原因を作った側からの請求も認められます。

2-2.扶養的財産分与

離婚後、夫婦の片方が生活に困窮してしまう可能性があります。その場合、生計を助けるための扶養的な目的で財産分与されるのが、扶養的財産分与です。たとえば、夫の収入で生活していた専業主婦や、高齢・病気の場合に認められます。

2-3.慰謝料的財産分与

離婚時、慰謝料の請求が問題になるケースがあります。慰謝料は、財産分与とは性質が異なり、別々に請求するのが原則です。しかし、慰謝料と財産分与をまとめて「財産分与」として請求したり、支払いをしたりすることがあります。この場合の財産分与は慰謝料が含まれていることから、慰謝料的財産分与と呼ばれるようになりました。

財産分与にも種類があるんですね。
はい。離婚のときの状況によってどれを選ぶか決めましょう。

3.財産分与の対象になる財産

財産分与をする際、すべての財産が財産分与の対象になるとは限りません。では、一体どのようなものが財産分与の対象になるのでしょうか。ここでは、財産分与の対象になるもの・対象にならないものについて説明します。

3-1.財産分与の対象となる「共有財産」

婚姻中に夫婦が築いた財産は共有財産といい、財産分与の対象になります。共有財産の場合、名義は関係ありません。たとえば、夫婦の共同名義で購入した不動産・家具や家財・預貯金・車・有価証券・保険解約返戻金等です。婚姻中に夫婦が協力して築きあげたり取得したりした共有財産は、すべて財産分与の対象となりえます。

3-2.財産分与の対象とならない「特有財産」

婚姻前に片方が有していた財産のことを特有財産といい、これは財産分与の対象にはなりません。たとえ、婚姻中であっても個人で取得した財産も特有財産になります。たとえば、独身時代に貯めた定期預金・相続によって得た不動産などです。ただし、特有財産だとしても例外はあります。婚姻後に、夫婦が協力して価値を高めたり維持したりしていた場合は、夫婦の貢献度の割合に応じて、財産分与の対象になる場合もあるでしょう。

3-3.マイナス財産は内容によって判断される

夫婦の片方が借り入れた借金などは、マイナス財産となります。夫婦の共同生活を営むために生じた借金であれば、夫婦共同の債務として考慮されるでしょう。しかし、個人的に借り入れた場合は、財産分与において考慮されません。夫婦の共有財産にプラス財産とマイナス財産がある場合、プラス財産からマイナス財産を差し引いた残額を分配することになります。そのため、財産分与をする際は、プラス財産だけでなく、マイナス財産も明確にしておかなければなりません。

財産分与の対象になるのは共有財産だけなんですね。
はい。結婚前の財産は分与の対象になりません。

4.財産分与の割合はどうなっているの?

財産分与の対象となる財産が明確になったら、財産分与をどのような割合で分配するかが問題となります。基本的に、財産分与の割合は財産の形成や維持に対して、夫婦の貢献度に応じて決めていくことになりますが、実際の割合は半々になるケースがほとんどです。たとえば、妻が専業主婦で夫が会社勤めの場合、夫の稼ぎで夫婦生活を営み、妻の支えで家庭が維持できたと判断されます。どちらもそれぞれの役割を全うしているからこそ、財産分与の割合は、原則的に2分の1ずつと考えられているのです。
ただし、特別な事情によって割合が変わることもあります。たとえば、片方だけの努力や能力によって高額な資産形成がなされたようなケースです。その努力等を考慮された上で、分与の割合が大きく変わる可能性があります。

原則は半分半分なんですね。
はい。ただし、不倫などどちらかが有責の場合は割合が変わってきます。

5.財産分与の流れ

ここでは、財産分与の大まかな流れについて解説します。

5-1.財産分与の流れ

まず、財産分与は話し合い(協議)によって取り決めることになるでしょう。財産分与は当事者が納得さえすれば、双方の合意によって自由に定めることができます。一般的な流れとしては、以下のとおりです。

  1. 財産分与のリストを作成
  2. リストを確認しながら、分配方法を協議する
  3. 財産分与について双方が合意すれば完了

しかし、当事者間だけで取り決めをしてしまうと、財産分与の対象財産に漏れがあったり、その計算方法を間違ったりする恐れがあるでしょう。財産分与の対象財産がいくつかあるケースは、自分たちで判断するのではなく、弁護士に依頼することをおすすめします。その際には、下記のような方法で財産分与を行うことになるでしょう。

  • 不動産や自動車等の財産を自分が保持する代わりに、相手に金銭の支払いを請求する
  • 対象財産を売却して利益を分割する
  • 現物による分与

また、財産分与の取り決めをした場合は、その内容を記載した文書作成が一般的です。文書で財産分与の取り決めを記録しておけば、相手の支払いが滞ったときに給与の差押えなどができます。つまり、公正証書を作成することでトラブル回避につながるというわけです。

5-2.離婚と同時に財産分与を取り決める

財産分与は、離婚と同時に取り決めることが一般的です。離婚時に財産分与の取り決めをしなくても、後から財産分与を請求することはできるので安心してください。ただし、財産分与を請求できる期間は限られています。基本的に、離婚したときから2年以内の期間制限が定められているので注意しましょう。離婚後は連絡が取りづらくなったり、財産の把握が困難になったりする可能性があります。最悪な場合、相手によって財産が散逸してしまうこともあるのです。そのため、できるだけ、離婚と同時に財産分与を行っておいたほうがいいでしょう。

まずは話し合いをするんですね。
はい。話をスムーズに進めるために、弁護士などを挟むこともあります。

6.もし、配偶者が浮気の離婚の場合はどうなるの?

配偶者の浮気が原因で離婚する場合、浮気した配偶者にも財産分与を請求する権利があります。前述したように、財産分与は、婚姻期間に夫婦が共同して形成した財産を分与することです。そのため、たとえ浮気の当事者であっても、これまでの貢献度が考慮され、財産分与の方法を定めることになります。従って、夫婦に共同財産があるときは、離婚原因に限らず、財産分与を行う方向で協議を進めることになるでしょう。
ただし、財産分与には、単に共同財産を分与する以外にも、慰謝料的要素・扶養的要素を含めて決めることがあります。浮気が原因の場合は慰謝料の要素を含めて財産分与ができるでしょう。夫婦の共同財産を2分の1ずつに計算した後、そこに慰謝料的要素を加味し、夫婦の話し合いで財産分与の割合を決めることになります。
また、慰謝料の支払いは財産分与とは区別して、離婚慰謝料の条件を定めることもあるでしょう。財産分与では2分の1ずつ公平に分け、財産分与とは別に慰謝料を請求する方法です。ただし、離婚から3年以内が慰謝料の請求期間となっているので注意してください。なお、慰謝料を請求された側は、財産分与と慰謝料を相殺して計算もできます。このように、配偶者の浮気が原因で離婚する場合、慰謝料を考慮した上で財産分与を行うことになるでしょう。

分与した財産から慰謝料を受け取ることもできるんですね。
はい。慰謝料を別途請求するより手間がかかりません。

7.離婚・財産分与に関するよくある質問

離婚・財産分与に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.夫の退職金も財産分与の対象になるのか?
A.退職金は、夫婦の共有財産として考えていいでしょう。ただし、財産分与の対象となる範囲も考える必要があります。退職金の支払いを受けてから、すでに別居しているといった場合には、原則として別居期間中に形成された部分の退職金は財産分与の対象にはなりません。
また、まだ退職金の支払いが始まっていない場合、将来もらえる退職金の額は退職に至るまでの見込年数が長いほどあやふやになります。退職するまでの期間や勤務先の退職金規定などの事情にもよりますが、退職金が将来支給されることがほぼ確実である場合には、財産分与の対象として認められることがほとんどです。実際の分け方については、人によって異なります。そのため、詳しいことについては弁護士に相談したほうがいいでしょう。

Q.離婚してから、生活費等の支払いを請求することはできるのか?
A.婚姻関係中の費用を分担する義務は離婚により消滅するため、離婚後は相手に生活費を請求できません。ただし、婚姻中だった過去に未払いの生活費などがあれば、離婚後であっても請求できます。ちなみに、財産分与に含めて、離婚後2年以内であれば請求を行うことが可能です。

Q.離婚した際、財産分与・慰謝料などお金についてはお互いに何も請求しないと取り決めたが、夫が婚姻期間中に浮気をしていたことが発覚した。この場合、慰謝料や財産分与は請求できるのか?
A.離婚後で浮気が発覚したとしても、慰謝料を請求するのは困難でしょう。離婚の際、調停調書や公正証書などの書面を作成している場合は、その内容に従わなければなりません。しかし、そこまで厳密に取り決めをしていない場合、内容によっては夫に慰謝料請求や財産分与を請求することができる可能性もあります。特に、夫の浮気を知らなかったのであれば、取り決めは無効であると主張できるでしょう。ただし、慰謝料の請求期間は離婚後2年以内となっているので注意が必要です。

Q.不動産の財産分与をする場合、住宅ローンが残っているときにはどうすればいいのか?
A.ローン付きの住宅を財産分与により清算する場合は、住宅を売却してその代金でローン債務を返済し、残りを分配するのが一般的です。そのほかの方法もありますが、具体的な状況により財産分与の内容が大きく変わり、複雑な判断が必要になるでしょう。お互い不利にならないためにも、住宅ローンが残っている場合は弁護士などの専門家に相談して決めてください。

Q.婚姻関係がない内縁関係を解消するときは、財産分与が認められるのか?
A.ケースバイケースです。家庭裁判所で、内縁は準婚(婚姻に準じるもの)関係であると判断された場合、内縁の解消においても法律上の婚姻解消と同様に財産分与の考え方が適用されます。従って、内縁の解消時、内縁関係にあった期間中に協力して築いた共同財産の財産分与を行わなければなりません。財産分与の割合も、双方半分ずつで財産を分けることになります。ちなみに、内縁とは、法律上の婚姻の届出をしていなくとも、夫婦の実体がある男女の関係のことです。婚姻関係でないため、内縁関係では配偶者の相続権に関する適用がありません。そのため、内縁関係にある期間中に内縁の配偶者が死亡したときには、相続財産の分与請求をしても認められないので注意が必要です。

まとめ

離婚時に財産分与をする場合、清算的財産分与・扶養的財産分与・慰謝料的財産分与といった3つの方法があります。婚姻中の築いた財産をきちんと分配するのが理想的ですが、離婚原因によっては納得できなかったり判断が難しかったりするケースもあるでしょう。面倒くさいから、早く離婚したいからと財産分与をおろそかにしてはいけません。離婚時の財産分与で悩んでいるときは、弁護士など専門家に相談すると安心して進めることができます。探偵社アヴァンスでは、調査後に弁護士の紹介を無料で行っており、無料相談も可能です。離婚時の財産分与でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。