DVの証拠には何が有効? 加害者と会わずに離婚する方法も!

DVとはドメスティックバイオレンスの略で、配偶者間の暴力のことです。かつては夫から妻への暴力がほとんどでしたが、現在は妻から暴力を振るわれる夫も増えてきています。DVは立派な離婚理由になりますが、その為には「確かにDVを受けた」という証拠が必要です。しかし、「どうやって証拠を残せばよいのかわからない」と悩んでいる人もいることでしょう。
そこで、今回はDVの証拠を集める方法を解説します。

  1. DVの基礎知識
  2. DVの証拠集めについて
  3. 探偵社に依頼をしたほうがよい場合とは?
  4. 探偵業者に依頼する方法
  5. DVの証拠集めに対するよくある質問

この記事を読めば、DVの証拠集めに悩むことはありません。DVに悩んでいる人やDVを理由に離婚を考えている人は、ぜひ読んでみてくださいね。

1.DVの基礎知識

はじめに、DVの種類や危険性などを解説します。通常の夫婦喧嘩とどこが違うのでしょうか?

1-1.DVの定義

前述のとおり、DVとは配偶者間の暴力行為を指します。近年では籍を入れていない恋人や同棲相手からの暴力も、DVと定義されるようになりました。普段仲の良い夫婦やカップルでも、時にはケンカをすることがあるでしょう。しかし、通常のケンカには原因があり、せいぜい口喧嘩程度です。しかし、DVの場合は、時に命にかかわるようなケガをすることも珍しくありません。また、配偶者を落としめ、支配するために暴力をふるいます。さらに、DVがエスカレートすれば暴力の矛先は配偶者の親兄弟や子どもに向かう可能性もあるでしょう。

1-2.DVの種類

DVは肉体的な暴力だけではありません。言葉による精神的な暴力(モラルハラスメント)や、生活費を渡さない、仕事をやめさせるなど経済的な暴力もあります。さらに、配偶者が望まないのに性行為を強要したりすることも、DVの一種です。また、直接暴力を振るわなくても、壁や家具などを壊し、暴力の恐怖を見せつけるのもDVなります。

1-3.DVの問題

長い間、配偶者間の暴力は夫婦げんかで片付けられてきました。しかし、DVの場合は受けた人が命にかかわるケガをしたり、場合によっては命を落とすこともあります。また、精神的な暴力を長年受け続けた場合は、うつ病などを発症する可能性もあるでしょう。さらに、子どもがDVを見て育った場合、自分もDVをする大人になるなど負の連鎖が続くこともあります。

1-4.近年の傾向

近年では、妻から夫への暴力や恋人に暴力を振るうデートDVなども問題になっています。特に、妻から夫への暴力は被害者が相談をする場所がまだ少なく、1人でがまんしている人も多いでしょう。また、精神を傷つけるモラルハラスメント(モラハラ)の被害も深刻です。肉体的な暴力とは異なり目に見える傷は残りませんので、離婚する際にDVであるという立証が困難になることもあるでしょう。

1-5.DV防止法について

平成16年度より、DV防止法が制定されて国や自治体は、DVの被害者を保護する責任が生じました。また、後で詳しく説明しますが、DV被害者が裁判所に保護を申し立てることも可能です。さらに、DVの加害者は被害者および、子どもに接近禁止の処分が下されることもあります。
また、現在、警察が把握しているだけでも年6万件以上のDV被害が報告されているのです。DVに悩んでいる方は10万人以上いるでしょう。DVは決して特別なことではないのです。

2.DVの証拠集めについて

この項では、DVにあった時の証拠の集め方やその重要性について解説します。なぜ、証拠集めが重要なのでしょうか?

2-1.証拠の重要性

DVは立派な離婚理由になります。しかし、DVの加害者は被害者に暴力を通して依存しているため、離婚にすんなり応じるケースが少ないのです。最悪のケースでは、話し合いの場で命の危険があることもあります。ですから、離婚するためには裁判になることも多いのですが、裁判所に離婚を申し立てる場合は証拠が必要です。そのため、DVを受けたら証拠を残しておきましょう。

また、配偶者が被害者の生命や身体に重大な危害を加えるような場合、裁判所に保護命令を申し立てることができます。保護命令が出された場合、警察などでは、被害者がこれ以上被害にあわないよう、サポートを行ってくれるのです。保護命令を申し立てる場合も、DVを受けたという証拠が必要になります。

2-2.証拠を集める方法

  • 肉体的なDV:病院を受診し、診断書を書いてもらう。ケガの場所を写真に取る
  • 精神的なDV:会話を録音する。手紙・メール・SNSなどは保存しておく
  • 壁や家具を壊すDV:壊した家具などを写真に取る
  • 経済的なDV:家計簿をつけ、生活費を誰が出しているかなどを明確にさせておく

以上が、DVの証拠集めの方法です。また、すべてのDVに共通する証拠の集め方として、いつ、どのようなことをされたかを日記に書いておきましょう。

2-3.DVを受けたら?

DVを受けたら、被害者は加害者から離れましょう。DVは一度きりでは収まりません。反省していても必ずくり返します。実家があれば実家に逃げてください。実家が知られている場合や、親兄弟、子どもに危害が加えられる恐れがある場合は自治体が運営しているシェルター等に保護してもらいましょう。

なお、肉体的な暴力を受けて医師の診察を受けた場合、病院からシェルター等へ保護してもらうことができます。ここから弁護士などの法律家に依頼し、保護命令等を申し立てしてもらうこともできますので、まずは身の安全を確保してください。かがい加害者から逃げることができたならば、被害者は加害者と会うことなく離婚をすることも可能です。

3.探偵社に依頼をしたほうがよい場合とは?

前述のとおり、DVの加害者は被害者に執着しがちです。何とかし被害者を連れ戻そうと、

  • 実家やその周辺に嫌がらせや中傷のビラを撒く
  • SNS等で個人情報を拡散し、行方を突き止めようとする
  • 被害者のところへ嫌がらせや脅しの電話、手紙を送る

といった行為をすることもあるでしょう。これでは、ストーカーと同じです。また、このような場合は警察ではなかなか対処しきれないこともありますし、確実に配偶者がやったという証拠がないこともあります。このようなケースは、探偵業者に依頼して配偶者が上記のようなことを行っているかどうか調査してもらいましょう。確実に行っているという証拠がつかめた場合は、慰謝料の追加請求を行えたり、接近禁止令を出せたりします。

4.探偵業者に依頼する方法

探偵業者は、インターネットを利用すればすぐに最寄りの業者が見つかります。優良な業者は警察から探偵業届出証明書を発行してもらっていますので、ホームページにもその旨が記されているはずです。相談は無料というところもありますので、まずは相談してみましょう。この時、必ず事務所で相談できる業者を選んでください。喫茶店等で相談を受ける業者は、本当に業務を行っているかどうか分からず、信用できません。調査費用は、1週間前後で30万円代~40万前後が相場です。分割払い等もできる業者がありますので、一括して料金が祓えない場合は相談してみましょう。料金が明確な業者ほど信用できます。よく料金にかんする説明を受け、納得できたら契約してください。

5.DVの証拠集めに対するよくある質問

Q.病院を受診しましたが、診断書をもらってくるのを忘れました。後日でも請求できますか?
A.はい。後日でも診断書は取れます。

Q.自分でつけた傷などと、医療機関で疑われることはないのでしょうか?
A.いいえ。医師ならば自分でつけた傷と人に付けられた傷の区別はつきます。

Q.DVで離婚した場合、慰謝料は高額になるのでしょうか?
A.高額の慰謝料を請求することはできますが、相手に支払い能力がない場合もあります。

Q.DVで配偶者を逮捕してもらうことはできるでしょうか?
A.はい。被害者が被害届を警察に提出すれば、傷害罪などで逮捕することは可能です。

Q.DVで離婚した場合、元配偶者にい場所が知られないように戸籍などの閲覧に制限をかけることはできますか?
A.はい。問題ありません。できます。

6.おわりに

いかがでしたか? 今回はDVの証拠集めについて解説しました。DVの被害者は「自分が悪い」と思いがちですが、いかなる理由があっても配偶者に暴力を振るったり精神的に貶めたりしてよいわけはありません。これはDVだろうか? と疑問に思った場合は、自治体の福祉課や女性の相談窓口などで相談をしてみましょう。