離婚の悩みを抱えている人必見!裁判や調停の流れについての基礎知識

近年、離婚による裁判は増えてきています。実際に、離婚問題で裁判を起こしたいけど、具体的な流れがよくわからないとお悩みの人は多いでしょう。
そこで、この記事では裁判や調停について、分かりやすく説明していきます。どんな流れで行われるのか、費用はどのくらいかかるのかなど、不安を抱えている人はぜひ参考にしてくださいね。

  1. 離婚裁判とは何か?
  2. 離婚裁判についての基礎知識
  3. 離婚裁判と慰謝料について
  4. 離婚裁判を成功させるために役立つ3つのポイント
  5. 裁判を起こされたらどうすればいい?
  6. 離婚裁判についてよくある質問
  7. まとめ

離婚は、人生において大きな悩みの1つです。1人で悩みすぎて、精神的に病んでしまう人も少なくありません。そうならないためにも、離婚裁判におけるしっかりとした知識を身に着けておくことが、強い武器となります。どうか1人で悩まず、この記事での知識を大いに活用してください。

1.離婚裁判とは何か?

離婚裁判を初めて経験する人にとって、「そもそも離婚裁判ってどんなことをするの?」という疑問が不安を掻き立てる要因となるでしょう。そこで、まずは離婚裁判についてを説明していきます。

1-1.そもそも離婚裁判とはどういうものなの?

離婚裁判とは、夫婦のどちらかが離婚を求めて家庭裁判所に対し訴えることを言います。

1-2.争われる内容について

では、具体的に離婚裁判ではどのような争いが勃発するのでしょうか。
まず一番に争われる内容は、「離婚の原因が法定で認められるかどうか」というところです。離婚裁判の場合、離婚できるか否かの判決を下すのは当人ではなく、裁判所となります。そのため、法定で認められる原因がないと、離婚することが難しくなってしまうのです。
この他に、財産分与、親権、慰謝料の有無についてなどが争われることになります。

1-3.離婚裁判を行うメリット・デメリット

離婚裁判を行う上での最大のメリットは、「法的に離婚が認められる状況であれば、相手の意思に関係なく強制的に離婚が可能」というところでしょう。離婚したいのに相手にその気がなく、当人同士では話が進まないという場合、非常に便利となります。
一方、デメリットとされているのは相応の時間・費用がかかってしまうこと、理由が法的に認められるものでなければ離婚できないことなどです。

1-4.協議離婚と調停離婚の違いとは?

離婚には、3つの種類があるのをご存知でしょうか。まず、1つが上記でご紹介した訴訟によって判決がくだされる離婚裁判。2つめが当人同士で話し合いをして決める協議離婚。3つめが家庭裁判所を介して話し合いをすすめることができる調停離婚です。

ここで気になってくるのが、協議離婚と調停離婚の違いでしょう。まず、協議離婚は当人同士で話し合い、離婚する方法です。これで話し合いが済めば良いですが、当人同士となるとどうしても感情的になり、話が進まなくなるでしょう。その場合に役立つのが、調停離婚です。

調停離婚も話し合いによって解決するのですが、当人同士ではなく家庭裁判所の人間(第三者)が介入して話し合いを進めていくことになります。そのため、当人同士で話し合いをするよりも、スムーズに解決まで持っていきやすいのです。また、調停離婚は家庭裁判所が関与してきますが、離婚裁判とは違って公に行われるものではありません。守秘義務があるため、外部に内容などが漏れてしまう心配もなく、安心して話し合いをすすめることができるのです。

2.離婚裁判についての基礎知識

離婚裁判をすすめるためには、それ相応の基礎知識が必要不可欠です。そこで、ここでは離婚裁判を行うにあたって知っておくと便利な基礎知識をご紹介してまいりましょう。

2-1.離婚裁判の条件

まず、離婚裁判を起こすために必要な条件があるのかという疑問が生まれるでしょう。そこで、具体的にどんなことが条件となるのが説明していきます。
まず1つ目ですが、「先に離婚調停をすること」です。離婚は夫婦間の問題となるため、まずは当事者同士で話し合うことが好ましいとされています。そのため、最初に離婚調停で裁判所を介した話し合いを行い、それでも解決しない場合のみ離婚裁判に発展することになるわけですね。
また、もう一つの条件として法律で定められている離婚の原因が必要となります。これがなければ、裁判を起こしたところで離婚することはできないのです。法律で定められた離婚原因には、次のようなものが挙げられます。

  • 相手の生死が不明のまま3年以上経過していること
  • 相手が配偶者以外と性的関係持つなど、不貞行為を行った場合
  • 相手が精神疾患を患っており、回復の見込みがないとされている
  • 長期間別居している
  • DVなどの問題がある

上記のような理由があれば、離婚裁判を行うことができるでしょう。

2-2.裁判の簡単な流れ

実際に離婚裁判を起こした場合、どのような流れで進めていくことになるのでしょうか。簡単に説明すると、まずは離婚裁判を起こすために書類を作成する必要があります。これを作成したら、裁判所へ提出するのです。その後、今度は被告側がその訴状に対して答弁書の提出をします。
この後、月に1度の間隔で裁判が開かれるのです。このときまでに、原告被告双方は主張書面や証拠の提示などをする準備をしておく必要があるので、計画的に進めていくようにしましょう。

2-3.手続きのやり方は?

離婚裁判を起こすには、前述した通り、必要書類を用意して手続きを行います。

  • 訴状
  • 離婚調停が不成立だったと証明できるもの「夫婦関係調整事件不成立調書」
  • 夫婦の戸籍謄本
  • 裁判所に納めるための印紙や郵便切手

以上の書類を準備したら、裁判所に提出します。あとは、受け付けてくれた人の指示に従って進めていきましょう。

2-4.期間はどのくらいかかるのか?

離婚裁判を起こすときに、やはり「どのくらいの期間がかかってしまうのか」という悩みを抱える人も多いでしょう。これは、その争いの内容や財産関係が複雑かどうかによって全く異なるため、一概には言えません。そこまで複雑でなければすぐに終了することもありますし、長期化してしまうケースも有り得ます。基本的には1年程度と考えておくと良いでしょう。

2-5.費用はどのくらいかかるのか?

裁判を起こすにあたって一番の悩みとなるのが、費用の問題ですね。果たして、どのくらいかかるものなのでしょうか。
訴訟をおこす場合は、裁判所に納めるための収入印紙や郵便切手が必要になります。まず、印紙ですが、離婚だけを求める場合は13000円程度です。ただし、離婚だけではなく慰謝料や財産分与を求める場合は、それに応じて代金も多くなるので注意しましょう。
次に、郵便切手代です。裁判所が重要な書類を送るときに「特別送達」や「簡易書留」など送ったことを証明する郵便サービスを利用します。こちらも使用する頻度が高ければ高いほど、代金がかかることになるのです。
この他にも、代理人として弁護士の協力を必要とする場合は別途費用もかかってくるため、注意してください。

2-6.相談窓口

離婚裁判について、色々とお話をして参りましたが、実際に初めての裁判となると、不安要素も大きいものですね。気軽に相談できるような窓口があれば心強いと感じる人は多いでしょう。そこでオススメの相談窓口をご紹介します。
法テラス

ここなら、法的トラブルに関する情報などを気軽に相談することができます。電話での相談はもちろんのこと、メールでの相談であれば24時間受け付けしてくれているので、忙しい人でも気軽に相談しやすいです。離婚裁判のことで躓いたら、まずはこうした相談窓口を頼ってみることをオススメします。

2-7.裁判終了後、どうなる?

離婚裁判で判決が下されると、ようやく色々なことから開放された気持ちになるでしょう。とはいえ、ここで安心しないようにしましょう。
確かに、基本的には判決が下されて2週間以内に相手から不服申し立てがなければ判決確定となり、離婚が成立します。万が一不服申し立てなどがあれば、裁判が長引くことにもなるので、注意しましょう。

3.離婚裁判と慰謝料について

離婚裁判が起きたときは慰謝料が請求できるものというイメージが強い人は多いでしょう。本当に慰謝料が請求できるのか、できるとしたらどのくらい請求できるものなのかなど、悩みはたくさんあると思います。そこで、ここでは慰謝料についての基礎知識をご紹介しましょう。

3-1.慰謝料とは?

そもそも慰謝料とはどういったものなのでしょうか?
たとえば今回お話している離婚裁判において発生する慰謝料ですが、これは離婚によって受けた精神的な苦痛に対して支払われます。要は、精神的苦痛に対する損害賠償金ということですね。
といっても、実は離婚のときに必ず慰謝料が支払われるのか、というと決してそんなことはありません。たとえば夫婦双方の価値観の違いや性格が合わないなどの理由で離婚となった場合は、どちらも相手に対して慰謝料の請求を行うことはできないのです。ただし、一方が何らかの原因で相手に精神的苦痛を与えてしまった場合、受けた側はに慰謝料を請求することができます。この点について、気をつけておきましょう。

3-2.慰謝料の請求方法について

では、具体的にどのような手順で慰謝料を請求するのかをご説明していきましょう。まず、離婚原因が配偶者にある場合、当然配偶者に慰謝料を請求することとなります。ただし、離婚をするという決意までに至っていない場合は、損害賠償請求訴訟になるので注意が必要です。この場合は、離婚することにならないため、離婚に関係する精神的苦痛に対しての慰謝料を請求することはできません。そのため、離婚を前提として慰謝料を請求する場合に比べると、請求できる金額が低めになるので注意しましょう。このケースで慰謝料を請求したいという場合には、配偶者ではなく浮気相手が望ましいです。

3-3.慰謝料の計算方法は?

慰謝料を請求した場合、どのくらいの額が受け取れるのか気になるところですね。そこで、慰謝料の算定方法についてを簡単にご紹介しましょう。
まず、慰謝料は「当事者がどれだけ精神的苦痛を受けたのか」ということを基準に計算されます。それに加え、下記の事柄が絡んで具体的な金額が出されるのです。

  • 有害な行為の度合いはどのくらいか
  • 破綻に至る経緯はどんなものか
  • 婚姻に至るまでの経緯と、婚姻生活の実情
  • 婚姻中に双方はどんな努力をしてきたか
  • 子供はいるかどうか
  • 請求者側にどんな要因があるか(健康状態や精神的な疾患を発症しているか、妊娠中絶をしているか、収入や職業など)
  • 非請求者側にどんな要因があるか(生活費を払っていたかどうか、関係修復するための努力をしてきたか、婚姻中に贈与をしていたか、収入や資産、職業、年齢など)

裁判を起こすことでどの程度の慰謝料を請求できるのかは、実際に全ての要因などを考慮した上で算出しなければ、明確な金額を知ることはできないので注意しましょう。

3-4.内容証明とは?

「内容証明」という言葉を聞いたことはあるけど、具体的にどんなものかよくわからない、という人も多いでしょう。そこで、内容証明郵便についてお話していきます。
これは、「いつ誰が、誰に対し、どのような内容の書面を送付したのか」を証明してくれるというもの。これを送付することで、手紙での証拠を1つ作ることができます。特に法的な拘束力はないものですが、相手に心理的な圧力をかけるには十分な方法です。
ただし、内容証明郵便を書くときには注意しましょう。これは自分にとって強い証拠となりますが、相手からも証拠の1つとなってしまうものです。そのため、嘘の内容を記述したり、脅迫じみた言葉を書いてしまったりすると、自分が不利になってしまう可能性もあります。できれば専門の知識を持つ法律家などに相談しながら記述するのが良いでしょう。可能であれば、差出人の名前を法律家の名前にしてもらうものオススメです。

4.離婚裁判を成功させるために役立つ3つのポイント

相手の不貞行為により精神的苦痛を受けた人にとっては、なんとしても離婚裁判を成功に導きたいと考えるものでしょう。そこで、覚えておきたい3つのポイントをご紹介します。

4-1.何より大切なのは立証

裁判を成功させるためには、慎重にことを進めていく必要があります。その中でもまず大切となるのが、立証。次のような証拠は、できるだけ用意しておくようにしましょう。

  • 相手の不貞行為を証明するもの
  • 悪意のある遺棄があったことを証明するもの
  • 婚姻関係が破綻している証拠になるもの

まず、たとえば不倫をしていたのであれば、メールや一緒に映っている写真などが証拠となります。ただし、一緒に食事をしている写真などでは証拠にならないので気をつけましょう。可能であれば、相手が不倫を認める旨を明記した書面があるとなお良いです。
2つめについては、別居を始めた日時や経緯などを記載した日記・メモなどが証拠となります。また、生活費が支払われていないなどのトラブルがあれば、それを証明するために預金通帳や家計簿も用意しておくと良いでしょう。
3つめですが、喧嘩の内容を録音したテープや日記などが有力です。その他、DVなどがあった場合は病院で診てもらったときに診断書を発行してもらうと良いでしょう。もちろん、DVについてもつらいかもしれませんが、具体的にどのようなことをされたのか、日記に綴っておくと心強いです。

4-2.プロに任せることも重要

前述した通り、裁判を成功させるためにはとにかく証拠が多ければ多いほど良いと考えられます。とはいえ、全ての証拠を自分一人だけで集めるのは、なかなか大変なものですね。裁判を起こす前に、心身的に参ってしまう可能性すら考えられます。そこで、オススメなのがプロに任せるという選択肢です。たとえば探偵事務所などに依頼すれば、決定的な証拠となるものを用意できる可能性が高くなります。他にも、探偵事務所のプロであればどのような証拠が有効か、その証拠を集めるためにどうすればいいのか…など、様々なアドバイスを得ることもできるでしょう。このように、プロの集まる調査会社を利用することには、たくさんのメリットがあります。
ただし、どのような業界もそうですが、中には悪質な業者も存在するので注意が必要です。そのような悪徳業者に引っかからないためにも、会社選びは慎重に行いましょう。ポイントは会社概要をしっかり確認することです。ここに固定電話番号、事務所の所在地、加盟協会や団体名などが明記されていれば、問題ありません。ただし、電話番号が携帯電話であったり、所在地が明確でなかったり、加盟協会などが記されていない場合には注意が必要です。また、探偵業の許可を取得しているかどうかもチェックしてください。これが明記されていないところは、悪質な業者である可能性が高いです。

4-3.成功させるために知っておきたい注意点

このように、裁判を成功に導くためには、とにかく慎重に物事を進めていくことが重要となります。では、簡単に注意点をまとめてみましょう。

  • 証拠となるものはできるだけ集めること
  • できればプロ調査会社の協力を得るようにする
  • 調査会社選びは慎重に行う
  • 内容証明郵便を送るときは自分の不利にならないよう気をつける

以上のことに気をつけて、慎重に手続きなどを進めていきましょう。

5.裁判を起こされたらどうすればいい?

これまでは離婚裁判を起こす側の視点でお話してきましたが、最後に裁判を起こされた側の視点で簡単にアドバイスをしておきます。万が一配偶者から裁判を起こされてしまった場合、どうすればいいのでしょうか。
まずは何より、「自分が配偶者と離婚したいのか、そうでないのか」ということをはっきりさせる必要があります。確かに、裁判を起こされてしまうとパニックに陥ってしまうものです。しかし、それでは状況が進展することはありません。自分がどうしたいのか、気持ちを整理した上で裁判に応じることができるようにしましょう。
裁判を起こされると、被告として対応を迫られることになります。裁判所から訴状が送られてくるのですが、これを認めるか否か、はっきりさせて対応してください。一度書いてしまうと、取り消しは簡単にできなくなります。気をつけましょう。

6.離婚裁判についてよくある質問

6-1.離婚をしたいと考えているけど、配偶者が音信不通で連絡できない。どうすればいいの?

この場合、訴訟を提起することができます。相手が音信不通である以上、調停をすることはできませんが、提起することは可能なのです。この場合、裁判所の掲示板に「呼出状」というものが貼られます。これで、訴状を送ったことと同じになるため、訴訟につなげることができるのです。

6-2.親権者とは?

親権とは、夫婦間に未成年の子供がいる場合に発生するものです。その子供の養育監護、財産管理などの権利と義務のことを指します。従来、婚姻中であれば夫婦が共同して親権を行使するのですが、離婚となった場合、一方しか親権者となることはできないのです。

6-3.妻からのDVに悩んでいる。女性から男性へのDV問題でも裁判に持っていけるのか?

DV自体に、明確な定義はありません。しかし、基本的に「夫婦間で行われる身体的や精神的な暴力」のことを指しているため、女性から男性に対する暴力でも、十分DVです。今の世の中だと、どうしてもDV=男性から女性に対するものというイメージが付きがちですが、反対であっても離婚原因として認められます。

6-4.養育費を受け取ることができるのはいつまでか?

基本的に、養育費が受け取れるのは子供が成人するときまでとされています。しかし、相手の資産力や子供の学歴・進学などを総合的に考えた場合、大学を卒業するまでなどもあるでしょう。

6-5.専業主婦(または主夫)でも財産分与を受けられるのか?

専業主婦(主夫)の本業は家事労働です。そのため、これが財産を形成することに貢献していると考えられるので、財産分与を受けることができます。

7.まとめ

離婚裁判の基礎知識や細かい内容などについておはなししてきましたが、いかがでしたか?裁判、という言葉を耳にすると難しい問題と思いがちですが、仕組みを知って、慎重に進めていきさえすれば決してそんなことはありません。早く裁判を終えて新しい道を切り開くためにも、離婚で悩んでいる人は思い切って第一歩を踏み出してみてがいかがでしょうか。